2006年の会社法の改正に伴って、1円の資本金でも株式会社の設立が可能となりました。
これにより、起業のハードルは以前と比べて大幅に低くなりましたが、実際に起業して経営が軌道に乗るまでにはそれ相応の資金が必要であることに変わりありません。
しかし、創業間もない時期は会社としての実績が無いため、資金が必要な場面でも融資や出資を受けるのが難しいケースが少なくありません。
そのため、如何にして資金を調達するのかという問題は、多くの起業家の悩みの種であり続けていますが、その問題を解決してくれる存在として注目を集めているのが「エンジェル投資家」です。
目次
エンジェル投資とは
エンジェル投資とは、創業間もない起業家に対して資金を提供することを指し、このような出資を行う個人投資家のことをエンジェル投資家と呼びます。
出資額は投資家によって異なりますが、一般的には100~1,000万円程度の資金が提供されるケースが多いです。
銀行などの金融機関から融資を受けたくても断られるケースが多い起業間もない時期の経営者に対して資金を提供し、資金面での悩みを解決してくれる天使のような存在であることからエンジェル投資家と呼ばれています。
エンジェル投資家が、創業間もない起業家に対して出資する目的は人それぞれで、純粋に起業家を応援したいという理由で出資している方も数多く存在しますが、主な目的は将来的なキャピタルゲインの獲得です。
エンジェル投資では、出資の見返りに経営の決定権である株式の譲渡が行われるのが一般的です。
投資家は、投資した資金を直接的に回収するのではなく、将来的に投資した企業が成長した際に、創業間もない時期に少ない資金で得た株式を売却することで大きな利益を得ることを目的としています。
参考/増田裕介(エンジェル投資家)の経歴/人物像とは?株式会社Riche Labについても調査!
よりハイリスク・ハイリターンな投資
エンジェル投資は、通常の株式投資と同じ仕組みではありますが、よりハイリスク・ハイリターンな投資とされています。
投資した企業の経営が軌道に乗って大企業へと成長すれば大きなリターンを獲得できますが、経営が上手くいかず株式を売却できない可能性の方が高いので非常にハイリスクです。
なお、Google・Yahoo!・Apple・Facebook・Twitterといった世界を代表する大企業も、かつてエンジェル投資を受けています。
エンジェル投資を受けるメリット
また、エンジェル投資を受けるメリットは数多くありますが、同時にデメリットもあるので、投資を受ける際はメリット・デメリットの両方を十分に理解しておくことが大切です。
返済義務がない
エンジェル投資を受けるメリットとしてまず挙げられるのは、返済義務がないことです。
銀行などの金融機関から融資を受けた場合、毎月元本と利息を返済する必要がありますが、エンジェル投資は文字通り投資で融資ではないため、元本はもちろん利息を支払う義務が一切ありません。
資金繰りが苦しくなりがちな創業間もない時期に、返済義務がない資金が得られるのは起業家にとって大きなメリットと言えるでしょう。
経営などに関するアドバイスが受けられる
また、経営などに関するアドバイスが受けられるのもメリットのひとつです。
エンジェル投資を行う投資家には、事業で成功した経験を持つ方が多いため、その成功体験に基づく様々なアドバイスが受けられる可能性があります。
起業当初は様々な課題や問題に直面するケースもありますが、そのような場合に成功者の助言や忠告を受けられるのは、経営者としての経験が浅い方にとって非常に魅力的と言えるのではないでしょうか。
人脈が広がる可能性がある
さらに、投資家の中には自身が持つ人脈を積極的に活用して、業界の第一線で活躍しているようなキーパーソンを紹介してくれるケースもあります。
通常では出会えないような人物に知り合えるなど、人脈が広がる可能性があるのもエンジェル投資を受けるメリットです。
スピーディに資金調達できる
加えて、エンジェル投資は銀行からの融資などと比べて、スピーディに資金調達できるというメリットもあります。
エンジェル投資のデメリット
このように、エンジェル投資を受けるメリットは数多くありますが、一方でデメリットも複数あるので注意しましょう。
受けられる出資額が低い傾向がある
エンジェル投資を受けるデメリットとしてまず挙げられるのは、受けられる出資額が低い傾向があることです。
エンジェル投資では、投資家の自己資金による投資が行われるケースがほとんどで、上記の通り出資額は100~1,000万円程度となるケースが大半です。
そのため、数千万規模の資金を調達する必要がある場合は、銀行など金融機関やベンチャーキャピタルからの融資を検討した方が良いでしょう。
経営に対する過度な干渉を受ける可能性がある
また、経営に対する過度な干渉を受ける可能性があるのもデメリットのひとつです。
エンジェル投資を行う投資家の中には、経営に対してあまり干渉しない方もいれば、逆に経営の細部にまで干渉してくる方もいます。
株主という扱いになるエンジェル投資家からの干渉には、ある程度丁寧に対応する必要がありますが、深く干渉されると思い通りの経営ができなくなる可能性もあるので、この点については念頭に置いておく必要があります。
さらに、近年ではエンジェル投資を謳った詐欺の被害に遭う経営者の方もいるので、投資を受ける際は信頼できるエンジェル投資家なのかを十分に調査しておくことが重要です。
最終更新日 2025年5月28日 by acueva